私の転機となった患者さんとの出会い


理学療法士として働き始め4年目

その頃は
整形外科クリニックに勤めていた

少しづつ患者さんの抱える症状を
治せるようになってきた

ある日
50代女性の患者さんを
担当することになった

転倒して左膝の靭帯を痛め
しばらく固定したあとの
機能回復が
主治医の先生からの指示であった

挨拶を交わし
今何が特に困っているのか尋ねた

「今は歩くのも膝が痛くて
しゃがむこともできません」

「私はまた痛みなく
しゃがめるようになりますか?」

「私はまた痛みなく
歩けるようになりますか?」

患者さんに尋ねられた

私は
『今の段階では
またしゃがめるようになるか分かりませんが
精一杯頑張ります』

と返答した


それから週に1〜2回の頻度で
1ヶ月ほど通院してもらい
リハビリを行った

症状はなかなか改善せず
痛みで膝も思うように曲がらない

ある時
リハビリの最中に
患者さんから言われた

「ぜんぜん良くならないじゃないの!」
「なんであなたがずっと私の担当をやっているの!!」
「あなたが一番最初の時に言ったこと覚えてる?」
「この膝は治るかわからないって言ったわよね」
「その言葉がずっと引っかかっていたのよ!!!」


その日を境に
その患者さんは
来なくなった

本当に辛かった
このままこの仕事を続けていくことの
自身も失いかけた


その晩から
何が悪かったのか
考えた

最初の挨拶のとき
患者さんに何て言葉をかけていたら
良かったのか

私はなんであの時
あんな言葉かけをしたのだろう

『今の段階では痛みなく
しゃがめるようになるか分からない』と

一番は
自分に自身がなかったからだ
と思った

その時の自分には
その膝の状態を治せるだけの
技術や知識がなかった

時間が経てば自然治癒力で
少しづつ良くなっていくだろう
という思いもあった

それが
あの時のあの言葉かけになったんだと思う

あの時
患者さんは

『治りますよ!』

と言って欲しかったのだと思う


それから
今まで以上に勉強しないとダメだ

今まで以上に技術を磨かないとダメだ
と自分に言い聞かせ

講習会への参加や
医療文献をたくさん読んだ

遠いところでは
広島県まで講習会を受けに行った

上司にもたくさん相談し
休み時間
患者さんの診療後に
技術練習に勤しんだ

いろいろな患者さんのレントゲンを見て
主治医の先生にも読影をお願いした

痛みをとる選択肢を
もっと身に付けたく

鍼灸の資格を取りに
専門学校へも通った

とにかく勉強した


あの時から
10年ほど経つが

少しづつ
結果が出せるようになってきた


あの時と同じ症状で悩んでいる患者さんが
いらしたら

あの時よりも
自身を持って
『治ります!』
と言える


そして今
私が治療で意識していることは

1回の施術で必ず効果を出す
ということ

1回の施術で少しでも変化を出す
ということ

痛みが和らいだ
少ししゃがみやすくなった
足が軽くなった

など
それはなんでも良いと思う

毎回の治療で効果を出し続ければ
必ず症状は改善に向かっていく

患者さんの安心感にも繋がる

ただ
1回の施術で効果を出そうとすると

どうしても痛い治療になってしまう

時には治療中に
悶絶する患者さんもいる


それが今私が行き着いた

痛いけど結果が違うエキサイティングな治療院

であり

かはな治療院独自の技術である


今は
あの時
あの患者さんに
あの言葉をかけてもらい

感謝している



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